社長ブログ

2014-10

MBA教育を考える

  • 2014-10-31 (金)
  • MBA

先日の日経新聞で「社会人大学院が苦戦」という記事がありました。MBAを2回取得している私からすると大変気になる記事です。日本では欧米に比べMBAホルダーに対する評価が低く、社会人大学院に学ぶ意欲をそいでいることも一因のようです。記事によると日本企業では外で学ぶより社内の業務を通じて経験を積んだり、人間関係を構築したりする方が重視され、上司から反対されるケースもあるそうです。また、MBAを取得すると会社を辞められてしまうのではないかという懸念を持たれることもあるようです。最近ではビジネススクールの開設が増え、過剰供給になった結果、定員割れする大学院も多く、日本大学のようにMBA教育から撤退する大学も出ています。私は何とかこの流れに歯止めをかけたいと思います。そもそも、「外で学ぶより社内の業務を通じて経験を積み、人間関係を構築する」という価値観はそれ自体、最近のグローバル化やダイバーシティの流れと矛盾していると思います。社内の経験も当然必要ですが、海外を含む社外にも目を向け、内向きの思考から脱却することが重要なのは言うまでもありません。外で学ぶことに反対する上司こそ外で学ぶべきだと思います。私の場合、幸いなことにUSJ時代の上司がアメリカでMBAを取得され、私が関西学院大学のビジネススクールに通うことについては理解を示していただけましたし、SMBCコンサルティング時代は会社自体が人材育成の会社ということもあり、神戸大学大学院に通うことについても反対はされませんでした。ビジネススクールでは様々な企業から学びに来ている生徒から、これまでとは違う色々な視点を学ぶことも出来ますし、先生方からも様々な有益な理論を学ぶことができます。また「会社を辞められてしまうのではないか」ということについては、辞められてしまう理由をMBAに押し付けているとしか思えません。MBAを取得して自社で活かそうとしている社員に対し、そのような環境を与えることが出来ない会社が多いため、自分の学んだことを活かす職場を求めて辞めてしまうのだと思います。このような社員はMBAを取得しなくても、その人の成長に応じた業務を与えないと、これ以上この会社では成長できないと思えば辞めてしまうでしょう。つまり、企業側が社員の成長や、やる気に応じた業務を柔軟に与える必要があると思います。少しは変わってきているとは言え、いまだに古い体質を引きずった企業が多いのも事実だと思います。では大学側に問題がないかと言うとそうでもありません。少子高齢化に伴い、生き残りをかけて新しい学部の増設や社会人を対象にした大学院の設置などが盛んに行われてきましたが、その結果ビジネススクールも過剰供給となり、定員割れを防ぐために留学生や学部卒で社会人経験のない学生を受け入れるなどの状況となっているようです。これは決して留学生や学部卒の人が優秀ではないと言っているのではなく、ビジネス経験を積んで様々な問題を抱えたビジネスパーソンだからこそ、現在進行している職場の諸問題を大学院で学んだヒントを活かして解決することに意味があるという点で、大学側も本来のビジネススクールのあり方を考えるべきだと思います。日本の競争力低下が叫ばれている今こそ、企業側も大学側もMBA教育のあり方を見直す時期にきているのではないでしょうか。

少し前になりますが、NPO法人日本交渉協会にて交渉アナリスト1級という資格を取得しました。

私が交渉について興味を持ったのは神戸大学大学院の授業で交渉の授業があり、欧米ではビジネススクールでも積極的に取り入れられていることを知ってからになります。担当の奥村先生はミンツバーグの翻訳でも有名ですが、交渉に関する書籍の翻訳も多数なさっており、長文のケースを読んで実際に交渉を行うというタフな講義でした。

交渉アナリスト1級の試験は事前に出された課題に対するレポート提出と筆記試験でしたが、単に交渉に関する知識だけではなく、交渉に対する自分の考え方や心のあり方なども問われるものでした。相手を打ち負かすスキルだけ学べば良いのではなく、その後の人間関係を見据え、いかに良好な関係を保つかが大切だと思います。

昨日の日本経済新聞に、日本触媒の池田社長が若い頃に海外で苦労をされた、契約交渉に関する記事が出ていましたが、アメリカでの交渉で最も難航したのは「別れ方」だと仰ってました。池田さんによりますと、契約書にはあらゆる場合に事細かな条項があり、「ここまでしないと欧米では通用しないのか」と思われたそうです。その後、インドネシアでの契約交渉では、失敗もあったが何よりも大事な別れ方を決めておけば恐れることは何もなかったそうです。アメリカで学んだ交渉術(というか腹の据え方)は社長となった今でも生きていると仰ってます。

私はこの記事を読んで、私たちが交渉を学ぶの際は契約を成立させるための交渉に焦点が向きがちですが、その時に❝いかに分かれるか❞ということにも目を向け、不利にならないような別れ方をするということまで視野に入れた交渉をしなければいけないということが大切だと思いました。どうしても目先の契約締結に意識が向いてしまい、その後のことは何とかなるだろうと甘く考えていると最終的にこちらが大きな損害を負うこともあるということを肝に銘じなければいけませんし、交渉術とはここまで考えるものだと認識をさせられました。