社長ブログ

グローバルリーダー Archive

グローバル時代に私たちがやるべきこと

先日、慶應義塾大学大学院の石倉洋子先生の講演を聞く機会に恵まれました。テーマは「グローバル競争時代に必要な戦略シフト~日本企業が今すぐやるべきこと」です。直接お話を聞くのは初めてでしたが、とても素敵な先生でご講演内容も素晴らしかったです。個人へのグローバル化の提言もありましたが、特に印象に残ったのは次の5点です。

1.これまでの競争はゼロ・サムゲームで誰かが勝てば誰かが負ける時代だったが、これからの世界はプラス・サムの競争でお互いがともに勝てる新しい時代の競争がやってくる。そのためには自分は何に向いているかを見極めてそこで戦うことが必要であり、人と差別化ができる個人のユニークさが鍵となってくる。

2.新しいアイデアは一人で考え続けてもすぐに限界に行き着く。自分の業界や環境などの枠を超えて物事を見ることが重要である。他の業界で起こっていることを自分の業界に当てはめるとどうなるのかを考えるとアイデアは飛躍的に広がる。そのためには世界を見ること、世界と協同することが大切であり、意識的に違うものに触れなければならない。

3.今の時代はカリスマ的なリーダーを待っても意味はない。カリスマリーダーであっても一人で問題は解決することはできない。皆がリーダーになる時代であり、時にはフォロワーになってリーダーを支えるようにしなければならない。

4.絶対に海外に行けというわけではないが、日本にいても新しいことはできない。日本の会社に就職する人はわざわざラッシュアワーの混雑した電車に乗ろうとしているようなものである。そんな電車に乗っても身動きもとれないし、その電車に先に乗っている人はなかなか電車から降りない。知らないうちにそのまま車庫に入ってしまうだろう。

5.自分の意見を持ち、ポジションを確立すること。日本人はなかなか自分の意見を持つことができない。これは子供の頃からの教育の影響もある。日本の教育は問題に対して正しい答えを教えるが、問題に対して意見を聞く教育をしない。これからは一つの正解を探す時代ではない。試行錯誤を続け間違っていたら、また考えればよいのである。

その他にも心に響く様々なメッセージがたくさんありました。私も今一度自分を見つめ直すきっかけとなりました。これからの日本を支えるビジネスパーソンにもぜひ知っていただきたいメッセージです。

W杯進出を決めた本田選手に見る日本人のグローバルリーダー観

ワールドカップ出場を決めた日本代表選手の記者会見の場での本田選手の発言が印象的でした。彼の発言から見えてくるのは、「個」と「チーム」の2軸です。「個」とはつまり、①シュートを決めること、ドリブルでの突破、タックルをされても倒れないフィジカルの強さなど個人のスキル、②自分が決めるという強い精神力、③チームを鼓舞する強いリーダーシップということが出来ます。
それに対し、「チーム」というのは、①速いパスワーク、ディフェンスラインのコントロール、ゴール前のアシストなどチーム全体のスキル、②時には自分が犠牲になってもチームのために献身的に戦うという奉仕の精神、③監督・コーチ・キャプテン・先輩に忠実なフォロワーシップということができます。
「和をもって尊しとなす」という伝統がある日本の場合「チーム」が尊重され、時には「出る杭は打たれる」というように強いリーダーが必ずしも良しとはされない文化があります。では、どちらが大切なのでしょうか。本田選手が記者会見で言いたかったのは、日本の良さは認めつつも、強い「個」が足りなければ世界を相手に勝つことは出来ないということだと思います。
私は現在グローバルリーダーの育成に関する研究を進めていますが、グローバルで勝つために何が必要かという議論の1つが「個」と「チーム」の二項の対立です。私はどちらも大切だと考えていますが、世界に目を向けると強いリーダー育成のための「個」の教育に力を入れている国が多いのも事実です。
私が行ったインタビュー調査ではアメリカでは小学校の低学年からリーダーシップを尊重した教育がなされています。私の娘が小学校1年の時の運動会でクラス対抗のリレー選手を選ぶのに、一番早い生徒を選抜せずくじ引きで選んでいたことには驚きました。日本のサッカーが世界のトップチームと対等に戦うために直面している問題は日本の企業がいかにグローバル環境で戦うかという昨今の問題と極めて類似していると思います。
企業の教育現場にいる私が感じるのは、新入社員・中堅社員・幹部社員ともに強い個性を持ったリーダーを見かけることが少なくなったことです。ただ、そう嘆くのではなく、いかに強い「個」を持ったリーダーを育成すれば良いのかをさらに研究を進めていきたく思います。ただし、日本の本来の良さである「チーム」つまり「和」は絶対に見失ってはなりません。
ある大企業で海外拠点の責任者を任され、2人の娘さんが外国人と結婚されたというエグゼクティブの方が仰ってた言葉が印象的です。
「私は娘が外国人と結婚することに全く抵抗を感じていない。これからは国際結婚の時代なので自分で決めたのであれば尊重したい。ただし、彼女達に言ってるのは私達はアジアに生まれたのであり、日本人の血が流れているのだ。それだけは忘れるなと言っています。」私達にとっても大切なメッセージです。